境界とは

法律上の「境界」とは不動産登記法上の一筆と一筆の土地の境、つまり地番と地番の境目(筆界)を表します。これを「公法上の境界」といいます。
この「公法上の境界」所有者間の合意で決まるものではなく、客観的に定められているものです。
たとえばAとBとの当事者間できめた境はいくらお互いの合意の下でも、真実の境界と食い違っているのであれば、それは所有権界の合意にすぎず、それにより「筆界」が移動したりするものではありません。(これを私法上の境界)といいます。

 

もし境界(筆界)が当事者間の合意で動くものならば、極端な話をすると、それが山形県と秋田県の県境だとすれば、県境を当事者で自由に決められることになります。
あくまでも当事者間の合意で定められるものは「土地所有権の境」=(私法上の境界)ということになり、これはお互いの所有権の主張では有効ですが、公の土地の筆界は移動されられる性質では無いのです。

 

お互いの所有権界の範囲と公の登記上の筆界を一致させたいというときは、筆界を越える所有権界の部分につき分筆登記をしてさらに所有権の移転登記をして筆界と所有権界を一致させれ事になるのです。

地権者の方々に境界立会で納得していただくのが1番難しい部分だと感じます。

 

 

境界標の種類

境界標はいくつか種類がありますが、代表的なものをあげると、

 

  • コンクリート杭
  • 金属鋲
  • 金属プレート
  • プラスチック杭
  • 石杭
  • 刻み(側溝や土留めに刻印を入れる)

 

境界標は隣接の地権者と共同の費用で設置できます。原則として平等に費用を負担し、関係者が立会い(市道に接しているならば市の道路維持課の担当者等)、将来にわたり問題が起きないようにしておくことが大切です。

共同の費用で設置した境界標については当然にその隣接の地権者との共有物になりますが、もし単独の費用で設置した場合はその方の単独所有ということになります。
しかし境界標には何十年も前に設置したものがたくさん存在します。何十年も前に設置した人を特定し証明するのは困難であり、法律上は隣接の地権者との共有であると推定されます。

 

 

境界標は勝手に動かさない

ところで境界標はだれの所有を問わずに自由に処分して言い訳ではありません。
隣接との境界に納得できずに勝手に処分をしたり、境界を不明確にすると「境界損壊罪」で罰せられることがありますので、くれぐれもお気をつけください。

 

 

Point

  • 境界(筆界)≠所有権界
  • 境界と所有権の範囲はかならずしも一致しない
  • 境界杭を故意に不明にする行為は、境界損壊罪で罰せられる